青の

機動戦士ガンダムの青ののレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム(1981年製作の映画)
4.0
【初めて見るなら..】

「ガンダム見たいけど、シリーズ多過ぎてわけわからん」って方は多いと思う。
ネット上でも『見る順番』を検索すれば、諸説な見方が幾つも有り、さらにわけわからん。
しかし、なんやかんや言って手っ取り早いのは『公開順』だ。

【1979年放映されたTVシリーズ全43話】
(ファーストガンダム、無印ガンダム、1年戦争、などと呼ばれる)

これが全ての始まり。
とにかくこの43話がガンダムサーガの1ページ目だ。
これさえ押さえれば、以降の理解はスムーズだ。


だがしかし、しかしだ…
絵がキツイっす…( ´Д`)


そう、なんせ時代が時代である。
CGやらデジタルペイントやらあるわけもなく、全て筆でペタペタとセルを1枚1枚塗っていた時代。
爆破シーンやバトルシーンも、ほぼ毎回使い回し。
人手不足と放送日に追われる中での労苦の現れ。
予算の都合で端折れるものは端折り、妥協の末作画も不慣れな海外スタジオに外注するなど、いわゆる「作画崩壊」のオンパレード。
そんなものを25分×43話はかなり過酷な修行である。

なので、オススメなのが今作『劇場版』である。
その全43話を再編集、3部作で公開したものだ。

1 『機動戦士ガンダム 』
2 『機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編』
3 『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』

それでも1〜2まではTVシリーズの切り貼りなので、作画的にキツイのは否めない(BGMが突然ブチっと途切れたり笑)。

3に関しては7割程度、劇場用にリメイクされているので、まだマシかもしれない。と言うか格段に美しくなっている(当時としては)。
特にアムロとララア、対決と邂逅のシーンは鳥肌もの。

とは言え『全ての始まり』をちゃんと履修したい人には、越えねばならぬ義務教育課程。
これを越えた先にガノタへの新たな世界が待っていると言うもの。
謎に上から目線な言い方かもしれないが、「ちゃんと理解したい」ならば止む無しなのかもしれない。





【事前に分かっておくと便利メモ】

『宇宙世紀』
リアルで現代を西暦2023年〜と呼んでいるが、その西暦が終わった時代からガンダムの世界は始まる。
人口増加、戦争やら公害やらで地球に住めなくなりそう→地球の周りに居住空間『スペースコロニー※』をたくさんこさえて、そこに移住しようぜ!→じゃあ人類の歴史リセット的な意味も込めて西暦やめて「宇宙世紀」にしようぜ!みたいな。
※作中、コロニーを「サイド◯◯」と呼称している。

今作はその宇宙世紀が始まって(コロニーに人が住み始めて)79年経った頃『宇宙世紀0079』の物語。

『地球連邦vsザビ家』
コロニーで人々が住むようになって79年。
そうなると当然コロニー生まれな人もいる。それを「宇宙生まれ」=スペースノイドと呼んだり。
すると、地球から離れず育った連中とコロニーで育った連中とで、ちょいちょいいざこざが起き始める。
地球生まれはエリート意識が高く、コロニー側を下に見たり搾取したり、地球連邦として圧政を敷いたり。
その地球連邦のやり方にイライラムカムカを募らせるコロニーも出てくる。

で、同時期に「サイド3」ってコロニーにいたジオン・ズム・ダイクンて思想家みたいな奴が「俺たちスペースノイドは特別な人種じゃね?ニュータイプ※なんじゃね?」と啓蒙し始める。

※ニュータイプ
「勘のいいちょっとしたエスパー」
「超人的な直感力と洞察力」
「言動に縛られず分かり合える心を持つ人」

その思想が結果、排他主義や民族主義を育む土壌となってしまい「スペースノイド最高!地球の奴らは古い!無能!奴らから独立しようぜ!」と言う機運が高まる。

ジオン・ズム・ダイクンの側近として思想を共有し援助をしていたのが財閥『ザビ家』
ある日、ダイクンが地球連邦に「独立宣言をしちゃおうかなー」て壇上に立ったら突然死亡(ザビ家による毒殺?)。

ザビ家の頭首(父ちゃん)デギン・ソド・ザビは
「ダイクンの思想を引き継いで、俺たちザビ家がトップになるやで!ついでにダイクンの名前から取ってサイド3改めジオン公国って名乗ろうぜ!ついでに地球連邦に宣戦布告や!」
って感じで、地球連邦vsザビ家となる。

『ミノフスキー粒子』
その粒子を戦場にばら撒くと、レーダーや通信の障害を起こしてしまう。
長距離ミサイルの誘導や、レーダーによる敵の索敵が出来なくなる。

宇宙世紀という最先端な世界なのに、戦争がアナログ(目で確認、近くに寄らないと破壊できない)状態にならざるを得ない。

その為、兵士にゴツい宇宙服を着せて近接戦闘をさせる→もうちょいメカっぽい宇宙服→さらにメカメカしいスーツに→着ると言うより乗る→モビルスーツが生まれた。

リアルでは非効率に見えるモビルスーツでの戦闘を、そうするしかないよね?と便宜上納得させる為のガンダムワールドの設定。



【ファーストを見たら次はこれ】
※時系列順。タイトル端のU.C.は「宇宙世紀」の略。

『機動戦士ガンダム ORIGIN』U.C.0057〜0079※

『劇場版 機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』U.C.0079

『機動戦士ガンダム 0083 STARDUST MEMORY』U.C.0083

『機動戦士Zガンダム』U.C.0087

『機動戦士ガンダム ZZ』U.C.0088

『劇場版 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』U.C.0093

『機動戦士ガンダム ユニコーン RE:0096』U.C.0096

『劇場版 機動戦士ガンダム NT』U.C.0097

『劇場版 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』U.C.0105

『劇場版 機動戦士ガンダム F91』U.C.0123

『機動戦士ガンダム V』U.C.0153

以上が『宇宙世紀』正史のシリーズ。公開順ではありません。
作中には必ず「宇宙世紀◯◯年」と表記されるので、見ながら「ああ、アムロ達の戦いから◯◯年後かあ」なんて感じ取れれば、また楽しいかも?

※ 『機動戦士ガンダム ORIGIN』は1年戦争(ファーストガンダム)の前日譚。
シャアやセイラ、ダイクン、ランバ・ラル、ザビ家のバックストーリーが綺麗な作画と共に楽しめます。
事実上ファーストのリメイクとも言える。
2023現在、U.C.0079までアニメ化。今後旧作における1年戦争終結まで描かれるかどうかは未定の様子。

以下は『宇宙世紀0079(1年戦争)』における、アムロやブライト達こそ出てこないが、同じ戦禍での誰かの物語。

『機動戦士ガンダム 第08小隊』
『機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争』
『機動戦士ガンダム サンダーボルト』
『機動戦士ガンダム MS IGLOO』


—〆—
今回は『宇宙世紀外(ガンダムコンテンツではあるが、別世界線のストーリー)』は外しています。
『ターンA』や『SEED』『W』『水星の魔女』とか。

なんせ作品量が多く、まとめるのも一苦労。
今回は「ガンダムを見たい。世界観をちゃんと理解したい。でも何から?」に対して、今作劇場版をオススメしました。

保険じゃないけど、見方は人それぞれ。旧作をゴリ押しするつもりはありません。
「とっかかりは絵が綺麗な新作どれでもいいんじゃない?」って意見もわかります。

でも、お子さんのいる方は2世代でファーストを語り合うなんてのも有りかも?
もしかしたら3世代になる?
青の

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