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機動戦士ガンダムのMASHのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム(1981年製作の映画)
3.5
ガンダムは『水星の魔女』を半分弱観たくらいで、あとはドンジャラでしか知らないレベル。長く続くアニメシリーズだと挫折するだろうとなんとなく避けてきたが、初代は3つの映画にまとめてくれているということで鑑賞。率直な感想を言えば、国民的アニメというにはあまりに重い内容に感じた。今でも衝撃的だと思う場面もあるのだから、当時はもっとだったのだろう。

もっと王道少年漫画風の作品だと思っていたが、描かれていたのは「戦争」そのもの。それも戦記者モノというより、第二次世界大戦での怒りや悲しみをぶつけたような生々しさすら感じる。序盤で大量の人の死体が映し出されたり、死への恐怖と同時に襲いかかる人を殺すことへの恐怖、そして若者たちが戦況を大局的に捉えられぬまま戦場へと駆り出されていく現実。巨大な二足歩行ロボ同士のバトルからは考えられないほどリアルでシビア。

特にアムロの描き方は衝撃的。いわゆる主人公的な熱いパッションの持ち主でもなく、カリスマ性があるわけでもない。特殊な才能を持ってしまった繊細な少年。その才能ゆえに責務を押し付けてくる周りの人間、芽生える責任感、命のやり取りに対する恐怖、その当たり前の感覚すら麻痺してくる狂った戦争の世界。その全てを15歳の少年に背負わせ、壊していくのだ。

と、まぁテーマやキャラには魅力を感じたものの、そこまで乗り切れなかったというのが本音。やはり総集編にありがちな問題点が強く感じられた。情報とセリフが多く、会話も一拍置くことすらしないため、とにかく忙しない。ストーリーを理解するので精一杯で、そこに浸れる時間がないのだ。また、アニメの14話をまとめてるに過ぎないので、2時間20分の映画としての起承転結がない。短い起承転結の連続に過ぎず、映画としてはメリハリに欠ける。

正直いわゆるロボットアニメとしての魅力はまだ僕には理解できず。バトルシーンではそこまで心が盛り上がることはなかった。だが、少なくともキャラやストーリー、そしてテーマへの興味は尽きない作品だと感じた。映画としては色々思うとき頃はあるが「機動戦士ガンダム」が熱狂的なファンを生んだ理由は少し理解できた気がする。せっかくなら劇場3部作ぐらいは全部観たいなと思うくらいには楽しめた。
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