JTKの映画メモ

噂の女のJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

噂の女(1954年製作の映画)
4.8
溝口健二と言えば、雄大で幽玄な作風のイメージだったが、特殊な家庭とはいえこういったホームドラマも撮るんだな。意外。しかもめちゃめちゃ面白かったし完成度高すぎ。
置き屋の女将と娘の愛憎物語。
そうか遊郭の話は多かったわ、溝口健二。
この時代の巨匠の代表格黒澤明の小学生でもわかる明快なダイナミズムと比べると溝口、成瀬はグンと大人だね。
黒澤明の大ファンになったのは中学生の頃だで、その時溝口や成瀬の映画観てもよーわからんかったろうな。
機微だでな機微。

宮川一夫の映像が抜群にいいのはいつものことだが、そこに映される日本家屋内などの美術あってこその映像美だとつくづく思う。美術さんの名前までは覚えてないんだが。

あと田中絹代、な。
女の業みたいなものを演じるのが巧いというより、そういったものが元から備わってるように感じる。凄くいい。もっと観たくなってくる。

ともかく昔の日本映画の魅力は底なしだわ。