せーや

運動靴と赤い金魚のせーやのレビュー・感想・評価

運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)
3.8
「お金=幸せ」か?

イランの貧しい家庭で育つアリとザーラ。
兄のアリは妹の靴を直しに行った帰りに
妹ザーラの靴をなくしてしまう。

アリの家庭はとても貧しく
靴を買うことすらできない。
靴をなくしたことを親にも言えず
アリの靴を二人で交代で使う。

一見、これだけ聞くと
貧しいことを不幸としているように見えるが
実際のところ、そうではないのでは?という
疑問を投げ掛けてくる作品。

貧しいことが不幸で
裕福なことが幸せだろうか。

物欲を満たすことで
幸せになれるのだろうか。

きっと一時的には幸せを感じられるだろう。
でも、どんなに物欲を満たそうとしても
満たされることはない。
物に溢れた生活にうわべでは満足していても
ふと虚無感に襲われたりする。

世界一幸福な国として有名なブータン。
貧しくも、みんな口を揃えて幸せだという。

今作でもそうだ。
決して幸せとは口に出さないし
貧乏であることを幸せとは思っていない。

でもアリやザーラは、
ほんのちょっとしたことで幸せを感じる。

貧しくても、笑顔でいられる。

老人がよく言う「昔は良かった」という言葉。

物が無く、貧しいのに
なんで良かったのか?
物が溢れる時代に生まれた我々には
全く理解できないことかもしれないが
きっと、金では測れない何かがあったんだろう。

日本にもこういう時代があった。
最近でも昭和を描いた映画がたくさんある。
その映画に出てくるのは、貧しくても幸せそうな人たち。

この映画はたくさんの人に見てもらいたい。
中東=危険という考え方でしか見れない私たちの考えを
きっと変えてくれるだろう。

名優・高倉健さんが絶賛した映画だそうで。

ぜひ、ご覧ください。
せーや

せーや