津軽系こけし

哀しみのトリスターナの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)
4.9
悪夢が舞い降りる


【クソおもろい】

🟧無駄のなさもここまで極めると重厚になる。
「アンダルシアの犬」「昼顔」のルイスブニュエル監督作品。養女として引き取られたトリスターナが、養親の性的搾取を受けて純真な人格を歪ませてゆくという内容です。

🟨淡々と進んでゆく内容の中にシャープな芯があって恐るべき重厚さを湛えています。そして先程も述べたように隅々まで無駄がない…でもすごく分厚い。観念とか時間を極端に排している上に、カメラもほぼ定点で長回ししてるため、画面だけ見るとすごく単純な印象を抱くはずです。しかし単純である故に心の”イメージ”がすこぶる鋭利に伝わります。

【台詞の積み上がり】

⬛️この映画の人たちはほとんど感情の動きを表情で見せない。全て台詞主体で言ってしまう。しかしそれは説明には陥らず作品のリズムとなって不気味な奥行きを構築している。繰り返すことで膨らんできたそのリズムが、トリスターナの変貌を引き金に突如変色する。元からその色であったかのように

そして、変貌、歪み、美しさ。つまりこれは私の大好きな”怪物映画”でもあったのだ。

【まとめ】

🦵シュルレアリスムの呼吸には前々から可能性を感じていたけれど、ようやくここでスパークしてくれた。素晴らしい作品と出会えました。

感無量
津軽系こけし

津軽系こけし