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哀しみのトリスターナのクリームのレビュー・感想・評価

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)
3.9
老貴族と養女のお話なのだが、私から観たらどっちもどっちだったが、後半が断然面白かったです。儚げだった少女が、容赦ない女に変わって行く描写が丁寧に描かれ好みでした。トリスターナの冷酷な美は、ドヌーヴだからこそ、だったと思います。この監督の作品は、「アンダルシアの犬」「忘れられた人々」とこれで3本目。甘くない作風は、好みです。

16歳で母を亡くしたトリスターナは、老貴族のドン·ロペの養女になります。ロペは、トリスターナを娘でなく、女として見るようになり、2人は籍を入れていないが夫婦の関係になります。しかし、トリスターナは、次第にロペに嫌悪感を抱きます。そんなある日、トリスターナは若い画家オラーシオと出会い、恋に落ちるのでした。



ネタバレ↓



気持ち悪いジジイに迫られ、初めは我慢するも流石に肉体関係まで行くと耐えきれなくなったトリスターナは、ロペに嫌気がさし、若い画家の男に恋をして駆け落ちします。
ところが、トリスターナは足に腫瘍が出来て、ロペの家に戻って来ます。病状は悪く足を切断する事になりました。その後、結局、ロペと結婚するのですが、ロペはある晩、心臓発作で苦しみ、トリスターナに医者を呼んでくれと頼みます。トリスターナは、電話をかける振りをしてかけず。外は雪なのにロペの部屋の窓を開け冷気を入れるのでした。
ラストは、今までのトリスターナの様子を遡り終わります。

悪いのはジジイだけど、トリスターナもかなり酷い。しかもトリスターナは、ジジイと肉体関係を持つ時、拒否してないし、自分から脱いでた。養われてるから、仕方無かったのも解るけど…。ちょっとジジイも可哀想だった。ジジイは、後半献身的に尽くしてたし…。そんなに嫌なら結婚しなきゃいいのに。ある意味、復讐なんでしょうね。ドヌーヴが美人だから、悪女が様になってました。
そして、オラーシオが中々のクズなのも面白かったです。病気になったら、トリスターナが嫌っていたジジイに上手い事言って返却なんて…。
他に好みだったのは、彼女が見る悪夢で、ロペの生首が鐘になっているという描写。
そして、片足になったトリスターナが弾くピアノ「革命」は激し過ぎたり、松葉杖で音を鳴らし同じ場所を歩き回る嫌がらせ。これらは面白かったです。

※針さん、楽しめました。ありがとうございます。
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