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東京マダムと大阪夫人のIMAOのレビュー・感想・評価

東京マダムと大阪夫人(1953年製作の映画)
4.0
こういう高度経済成長期の日本を舞台にしたコメディーは、この時期結構流行作られたのではないだろうか?例えば岡本喜八の『江分利満氏の優雅な生活』とか、成瀬巳喜男なら『驟雨』とか。この川島雄三の『東京マダムと大阪夫人』もこうした流れの中で撮られた一本だろう。ご興味ある方は松竹の作品データベースを参照してください^^https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/02810/

この映画で僕が関心したのは、一人一人のキャラクターの味付け。各々の人物の心の動きが手に取るように分かる。最近の映画観ていて、そういうのが本当に少ない様に思うのは僕だけだろうか?それだけに難しい作業なのだと思う。
あと高橋貞二が主役級の映画って、多分初めて観た。この役者は松竹の映画の名脇役として小津の映画などにも結構出ていたけど、調べたら交通事故で若くして亡くなっている。この後の活躍が多分期待されていただけに、残念。芦川いづみのデビュー作でもあるそうで、その可憐さがフィルムに刻まれている。
高橋貞二の洒脱さも芦川いづみの可憐さも映画として残る。そこが映画や写真の素晴らしいところでもあり、恐ろしい所でもある。何しろ若くして亡くなった方は永遠に若く、そして生き残った者は映画よりも老けてゆくのだから…
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