ハマジン

スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火のハマジンのレビュー・感想・評価

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水爆実験によって生み出された「怪物」が徐々に追い詰められながらもその呪われた力で「造物主」に復讐する、「核の恐怖」に味付けされたフランケンシュタインものの亜種。というか『エージェント・ウルトラ』の骨格は本作丸パクリやないですか!と思わずつっ込みを入れてしまうほど、物語の型(特に主役の男女のラブ・ストーリーとしての側面)がそっくりだったのでおったまげた。『エージェント~』の脚本マックス・ランディスの父、ジョン・ランディスが本作で口やら膝やらから火ィ噴いたりしてますし、併せて見ると面白いかと。ブラッド・ドゥーリフの不憫すぎる狂気の表情に涙しつつ、最後はやっぱり愛だね!愛!

風の演出が秀逸。冒頭、主人公の両親と親しい女研究員を通風口の手前に立たせ、その髪をかすかに揺らすことで彼女の感情の揺れを画面に示しつつ、同時に、原子炉に落ちる稲妻をベランダから見つめるヒロインの髪が風でかき乱されるロマンティックな映画終盤のイメージを準備してもいる。

色鮮やかな花に取り囲まれたベッドの上で抱き合う黒焦げの死体が、50年代アメリカの悪夢的イメージを形象化したポートレートとして鮮烈な印象を残す。プラスチックの部分がどろどろに溶けたメリーゴーラウンドの玩具に、エド&ナンシー・キーンホルツのインスタレーションを思い出した。
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