MikiMickle

スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火のMikiMickleのレビュー・感想・評価

3.6
世界七不思議の人体自然発火現象(SHC)を取り扱ったSF作品。

人体自然発火。これは現実に起こっている現象。欧米ではかなりの事例があります。時に足だけを残して体は灰になっていたり、高温過ぎて頭蓋骨が縮んでいたりするのだけれど、燃えているのは人物だけ…
火気はなく、それだけの高温の炎なのにまわりが燃えていないという謎です。
SHCの原因にはいくつかの説がありますが、トビー・フーパーは、独自の視点でこの謎を表現しました。

1955年のネバダ砂漠での水爆実験。
核シェルター会社のサムソン社の実験として地下シェルターで過ごしていたベル夫妻。彼らは被爆予防ワクチンを打ち、水爆実験にも耐えることができた。それは輝かしい功績だった。世間にも公表される予定だった。
そして、息子を出産。
それは広島に原発が落とされた8月6日からちょうど10年後。
しかし、その幸せ絶頂の直後に、夫婦は突然体から火を吹き、焼死してしまう…

それから何年もの月日がたち、大きくなった息子のサムは、大学で教鞭をとり、リサという年下で学生の彼女もいる普通の生活を送っていた。

しかし、産まれた時からあった手の甲のアザはどんどんと大きくなり、一方で友人らが謎の焼死をとげる事件がおきる。

そして、突然、自分の指先から火が……

徐々にわかる隠された陰謀。
誰が味方なのか、何を信じていいのか、それもわからない。信じてきたものが崩れていく。自分の名前すらも…
そして溺死したと思わされてきた両親の本当の真実。

放射能実験によって産まれた望まれない子供であり、いわばクリーチャーとなったデイヴィッドは、事の真相を探るべく、また復讐のために、奮闘する‼ 怒りで体が燃えようとも…
そして、陰謀の魔の手はサラにも降りかかり…


監督トビー・フーパーの演出、うまいと思います。
美しいシーンにやるせない切なさを感じました。
幸せの絶頂からの、夫婦が寄り添って燃える姿や、息子への“幸あれ”と願うプレゼントのメリーゴーランドが溶けていく様や…
白黒のチェッカーフラッグの床の豪邸で、青白い煙にまとわるボロボロのサム(またの名をデイヴィッド)は、その青さから、どこにぶつけていいのかわからない悲しみが表現されているように感じました。

そして『悪魔のいけにえ』同様に、主人公をことごとくいじめます‼どんどん焼けただれていくサム。その怒りと苦しみと悲惨さ…ブラッド・ドゥーリフが怪演‼ 他の出演者の影が薄くなるほどに‼

体から火が出る描写、面白いです♪89年の作品だからそれなりなのかもだけど、まぁ、燃える燃える‼怒ったり興奮すると火がでる‼まずは指先から‼
そして、電話ごしに‼ 突然腕が切れてそこからも発火‼ 口からバーニング‼(この役は、映画監督のジョン・ランディス♪)

波打つ浴槽の水の中から燃え上がる、火山口のような光‼バーニング‼ メラメラというか、もう、火炎放射機みたいで、ゴーゴーと火を放ち、切なさ通り越して、笑えてくる(笑) そして、後半の異様な盛り上がりバーニング‼
最後。そのハイテンションな流れからのラスト…目が完全に真ん丸くなる(笑)え?え?えぇっ?‼ え…えぇ?‼ なにこれ(笑)
なのに、なんか泣ける
MikiMickle

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