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我等の生涯の最良の年のnekonomachiのレビュー・感想・評価

我等の生涯の最良の年(1946年製作の映画)
4.3
戦地から帰還した者たちの人間ドラマ。
なかでも両手を失い義手を付けたホーマーを見て、ある記憶が呼び覚まされました。

私が幼い頃に上野動物園に行く途中、軍服姿の手足のない人たちがあちこちに佇んでいました。
父が「ああいう人達は補償をたくさんもらってるんだ」と憤慨したようにつぶやきました。
なのに物乞いのような真似をして!という意味だったのではと思います。

大人になってからもあの日の事は未消化のまま心に残り続けていました。

そして映画を見ているうちに彼らが失ったものは手足だけではなかったのでは?ということに思い当たりました。 
あの時彼らが抜け殻のようになっていたのは迎えてくれるはずだった家族を戦争で失ってしまったからなのでは…?

人通りの多い上野周辺に呆然と立ち尽くし、求めていたのは小銭ではなく「お国のためによく戦ってくれましたね」「戦争でひどい目にあってさぞお辛かったでしょう」
というねぎらいの言葉だったのではないでしょうか…

今となっては真相を知るすべもありませんが、戦争で苦しんだ人々を辛い面だけでなく明るく希望をもって描いたこの映画に、長くくすぶっていた疑問が昇華されたような気がしたのでした😌🍀
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