「覚えているか、出征した頃を?」
「覚えてる。あの時よりもっと不安な気分だ」
転機。
復員した三人の、それぞれの再出発。
今の世の人生は、誰であれおよそ平々凡々。多少の山や谷はあるだろうが、戦争経験というまでの強烈な転機はない。
だから正直、なかなかこの映画に感情移入できない。
想像してみた。自分ごととして。
出征して、復員して、それまでにすべてが変わってしまっていることを。これは悪夢だ。
この映画のメッセージは、今に誠実に生きるということなのだろう。過去に引っ張られずに、今、この瞬間、進むべき道を真っ直ぐに。自分に正直に。
「すべて解体するんだ」
「すべてが鉄くずに?」
「鉄くずじゃない。プレハブの家として再生する」
1300 難産でした