Eike

SUPER 8/スーパーエイトのEikeのレビュー・感想・評価

SUPER 8/スーパーエイト(2011年製作の映画)
3.0
Star Trekのリブートだけでなく、Star Warsのエピソード7-9のかじ取りを担当した売れっ子のJJ・エイブラハムズ氏の2011年公開の話題作。

しかしこの引っかかる気分はどこから来るんでしょうか?
私にとってスピルバーグが「特別な存在」だったのははっきり言って「レイダース失われたアーク」まで。
その翌年82年にE.T.を世に送り出して娯楽映画の作家としては頂点を極めてしまったというのが実感です。
ただ、JAWSで脚光を浴びてから80年代中盤辺りまでの一連の作品群はルーカスのSWシリーズと合わせてとにかく勢いがありました。
彼等の新作を観に映画館に足を運べばそこにはこれまで見たこともないような世界が広がっているようなワクワク感が確かにありました。

JJ・エイブラムス氏も1966年生まれですからこの波をもろに被った世代な訳です。
アメリカ映画がコンピューターテクノロジーと巨大な資本を元手に「面白ければそれでいい」と開き直って矢継ぎ早に娯楽作を大量生産していた時代。
良くも悪くもパワーに満ちていた「あの頃の映画」の匂いを今に蘇らせたかったという、その気持ちは自体は理解できなくもない。
しかし、本作のとったアプローチがその挑戦に相応しかったとは正直思えない。

端的にいうなら本作はスピルバーグのいくつかの作品のモチーフをまとめ上げた作品にしか見えません。
「未知との遭遇」「E.T.」「ポルターガイスト」そして「グーニーズ」。
もちろんCGを利用した洗練されたスペクタクルシーンなども盛り込まれておりますが、それで何か新しい印象が生まれているということもありません。

恐らく、JJ氏のやりたいように作った作品なのでしょう。
しかし、少なくともスピルバーグに一番活気があった頃の作品を見てきた世代から見れば、
困ったことに本作はスピルバーグ氏にオマージュを捧げたと言うよりは「スピルバーグのお○りに盛大にKissしただけ」の作品に見えてしまいます。

リメイクやアメコミの映像化ばかりでちっとも冒険をしなくなって急速に色褪せつつあるアメリカ娯楽映画の現状を考えると一層困ってしまいます。
本音を言えば懐古趣味に浸ってるくらいならもっと新しい何かを作ろうという気概こそを見せてもらいたかったのです。

同じエイリアンと子供たちをモチーフにした娯楽作ならほぼ同時期に公開された英国製の「アタック・ザ・ブロック」の方を僕は推します。
Eike

Eike