ぴんゆか

レクイエム・フォー・ドリームのぴんゆかのレビュー・感想・評価

3.8
下手なホラーよりこわい、本当にどこかではある話。

母親役のEllen Burstynは今作で賞を受賞したとか。Jared Letoの彼女役もなんか見覚えあると思ったらBeautiful mindのJennifer Connelly。
今みれば名優揃いすぎて驚く。

映像の技術発達とともに最近は少しでも時が経ってしまった映画は過小評価されたりすることもあるように思うが、これはいつ見てもこの"問題"が存在する限りは褪せない名作だと思う。

コンプレックス、金銭的な理由、遊びのつもり、
理由はそれぞれだろう。でも間違えたと思った時には本当に遅すぎる。けれど実態がここまで残酷で、深刻になってからは経緯など関係なく他者からは危険な廃人のようにしか見えないとは誰しも思わないだろう。少なくとも自分は知らなかったし、特に海外の繁華街や地下鉄で遭遇する、謎の言動と奇行をとる人間がもしかしたらこの類かもしれないとはこの映画を見るまで思わなかった。
学校の薬物防止教室では講釈なんか垂れず、これをただ流せば正義の真逆を行きたい子でもさすがにこの危険を冒すことは躊躇うのではと思う。
良作すぎるので多くは語らないことにする。

今の日本でいえば薬物はここまでのレベルでは無いにしろ、コンプレックスでいうならば整形がここで取り上げられている形に近いのでは無いかと思う。整形自体に自分は意義はない。それは個人の判断で、自分の人生にプラスになるものであれば取り入れたらいいと思っている。ただ一つ思うのは、誰かに外見を蔑まれたとか、嘲笑されたとかではなく、他人の影響では無く純粋に自分をアップデートしたい変わりたいと思って整形した人がどれほどいるのであろうかということ。後者であればいいのだが、そもそも"美のスタンダード"というどこの誰かもわからない一部の人間が決めたものに沿うという側面が強いこの行為に、誰の影響も受けていないという事例は少ないように感じる。

他人に指摘された、自分でそれまで気にしていなかった点はコンプレックスとして後々まで残りやすいとどこかで読んだ。こういった点で誰しも無意識のナイフで切り付けてしまう危険性を自戒の念を込めてここに刻みたいと思う。
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