堪能メンなまあじ

レクイエム・フォー・ドリームの堪能メンなまあじのレビュー・感想・評価

4.7
映画「π」で圧倒的斬新さと私の心を鷲掴んだダーレン・アロノフスキー監督作品。

頻度高く流れる「Lux Aetena」のメロディーが目的として“良い意味”に働き、最初から最後まで幸せになれない空気しか漂わない映画。いわゆる鬱映画。

強いて言うなら、ママ「サラ」が自分の生きがいを語るワンショットの長回しに唯一先に希望を抱く様子が見れる程度

主にドラッグにより堕ちていく4人のドラマだけど4人ともに何かに依存している。
ドラッグであったりテレビであったり、その依存には先のサラの“生きがい”も含まれてしまっているからこれまた救いがない

サラが薬物に溺れた…というより溺れてしまった…のは、元はと言えばヤク中息子のハリーに原因があるので、とにかく麻薬はやめよう絶対、である。

サラの異変に気づいたハリーは、彼女の薬の摂取をやめるよう促すが強気に出れないのはハリー自身も同じ立場であるからだろう。

その中で「赤いドレス」に関する会話がなされるけど、その少し前のシーンで、ハリーは桟橋に立つ恋人マリオンの幻覚を見る。
そのマリオンが着ていたのも赤いドレス。
ハリーにとっても赤いドレスは“素敵な思い出”の一つだったのかもしれない。

ラストは4人が4人とも、横向きに寝転び膝を抱えて眠るが、子供のような姿勢でもあり「4」にも見えなくもない姿勢で、ここはその狙いがあったのかどうかは毎回どうなんだろと思ってしまう。

タイトルにある「レクイエム」は死者の安息を願う意味だけど、この映画は死者ではないものの、もうまともに生に戻れない生きた死者に当てた詩であり、そして今まさに生に生きている人に対する反面教師作品なんだろうな〜と思った。

自分はもう何回観てるかわからないくらい観てるけど、何度も観るのはオススメしない作品でもある。
しんどくなるから苦笑