さけ

レクイエム・フォー・ドリームのさけのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

薬物に関する作品は割とあると思うんですが、今作は映像や音楽が素晴らしいと思います。
ところどころで出てくるんですが、2分割された映像はなんだかキャリーを彷彿させますね。
今作は薬物を直接吸ってるシーンがあんまりなくて、体内に入り込んだ演出にしているところがおもしろいと思いました。

あとは脚本もいいです。
薬物依存で表情も性格もどんどん歪んでいく様子をじっくり描いています。
救いはないです。
そんなところが生々しく、薬物の恐ろしさを十分に感じられる作品になっているのだろうと思います。

特にエレンバースティン演じるサラが恐ろしい。
冷蔵庫が迫ってくる演出や番組に出演している演出はもはやホラー作品のように感じました。そう言った演出は薬物依存者が見るとされている幻覚を観客である我々にも体験させてくれています。
「私は番組に出るの」といって電車に乗ってテレビ局に行くシーンでは、観客は彼女を知っているので間違ったことは言ってないと分かるが、周りの人から見れば意味のわからない薬物依存者となる構図があまりに恐ろしい。
あんなに素敵な婦人だったのに最後は見る影もなくなって別人のようになってしまってましたね。社会的な欲求が満たされないと心を病んでしまうのだろうか。

最後の『Lux Aeterna』がまた畳み掛けるように心を抉ってきます。
Lux Aeternaはラテン語で『永遠の光』という意味だそうです。
彼らは苦しみの中、永遠の光をずっと追い求めるのでしょうか。
この曲がいつまでも頭に張り付いて重い気持ちをずっと引きずったままになる、非常にヘビーな作品です。
さけ

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