まりぃくりすてぃ

君は僕をスキになるのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

君は僕をスキになる(1989年製作の映画)
3.2
主要四人(斉藤由貴さん・山田邦子さん・加藤昌也さん・大江千里さん)の体当たり的な熱演はどれも厭味なし。特に、斉藤さんの“和製エイドリアン”(メガネ女子)ぶりは妙に初々しい。

けど、美男美女筆頭同士が雪道でハグ、の予定調和にはオツカレサマしか言えない。達郎のあの曲は誰が使ったってジュエリーだし。
それより、斉藤さんを引き立てる山田さんが私たちの涙をポロポロポロポロ誘ってこそ真に配役正解といえるのだけど、ジョーク寄りのコメディエンヌという演出つけられすぎてて、空気をあまりキュンキュンさせなかった。終盤のせつない系のはずの“シングルベル”風景も単ににこやかに演じちゃってて、、、たぶん山田さんをあのように(そしてあとの三人もあのように)描いて各人の商品価値を形成していきゃいいとプロデューサーの秋元康氏ら商売人が決め込んじゃったんだろう。。。。
演技力あったはずだから、もったいないよ。シナリオが弱かったということにもなっちゃう。山田さんじゃない女優を使った方が観客にとっては幸いなのだったと思う。
美人よりも、引き立て役の不美人こそが結局は燦々たる主役として私たちの笑いも涙も支配、という吉本新喜劇的メロリアリズム(←いい意味で)の教科書としては、連城三紀彦氏の名作短篇小説『赤き唇』を挙げておく。総じて映画界の人たちは読書が不足してるみたい。

   [神保町シアター バブリー映画特集]