みーちゃん

眠狂四郎 無頼剣のみーちゃんのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 無頼剣(1966年製作の映画)
4.3
いま観終わったばかりだから興奮してるし、眠狂四郎の世界は初めてだから、時間が経ったら感想も変わるのかもしれないけど、そんなこと言ってたら何年経っても書けないと思うから、鑑賞直後のレビュー。

もう、涙が止まらない。特に屋根の上の約6分間は何回も見た。回を重ねるほど号泣してしまった。

先ず愛染に謝りたいのは、油問屋の末っ子との約束の意味を誤解してたこと。懐の竹細工に彼の目線が行った瞬間、心の底から本当にごめんね、という気持ちで一杯になった。だから、それが屋根瓦をつたってこぼれ落ちた時、一つ残らず私もこの手で受け止めた。

そして出来ることなら、この対決は避けてほしかった。二人とも大好きだから共存して欲しかった。でも、それは決して叶わないであろうことが、出会った瞬間に分かってしまう哀しさと美しさ。愛染が自ら「怨敵、水野越前は討ち損じたが…」旨を、少しだけ笑みを浮かべて述べた時の心情に想いを馳せると、尚更涙が止まらない。

二人の着物、市川雷蔵の黒と、天知茂の白のコントラストも鮮やか。特に白の着流しをあんなに自然に粋に着こなす人を初めて見た。生地がマットか?艶感か?の違いこそあれ、凡人なら幽霊コスチュームになってる。

でも屋根の上の対決時は、二人とも着流し姿だと、さすがに画的にキツい。息が詰まり過ぎる緊迫感になってしまう。だから、そこは愛染が一歩譲り、抜け感を生むグレー系の袴姿なのがベストバランスだった。

最後。もはや、どんなセリフも動きも似合わない。燃え盛る激情とやり切れなさを、静的なシーンで表現したのが堪らない。

※本作をすすめてくれて、ありがとうございました。時代劇&三隅研次監督作を、もっと観たくなりました。