いののん

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカのいののんのレビュー・感想・評価

4.2
初観賞。しかも完全版!
セルジオ・レオーネ監督作品を映画館で観られるだけで、もう胸が一杯。感慨もひとしおどころじゃなく、ふたしおもみしおも。そういえばたくさんの塩が役に立っていた。


アヘン窟のデザイン、少年ギャング達が街を闊歩して横切っていくその街の風景、自由の象徴であるかのような海へのダイブ等々、様々な景色が心に残る。モリコーネ大先生の音楽、Yesterdayのメロディ、鳴り止まぬ電話の音(この電話の呼び出し音の、間の長さもいい)と共に。一気に30年の月日を感じさせて出てくる手際の良さもお見事!圧巻の超大作!
裏口から入り、裏口から出て行くような、そんな男の矜持を、自分も生き切ったような251分! 贅沢すぎる時間だった。


これはまだ理解出来てないけどユダヤ系ギャングの意味や立ち位置、これもまだ理解できてないけどデボラが朗読する聖書の雅歌の意味など、興味は尽きない。まだあどけなさが残る子どもから(ケーキのシーン最高)、異性を知る思春期(屋上に干されているシーツ)、青年、大人、老人へと、行ったり来たりする。前に何かのレビューでも書いたけど、時間は一方向に進むのではなくて行ったり来たりするものだと思う。記憶も行ったり来たりする。行ったり来たりしながらどうにか私も生きている。


ヌードルズとデボラのリムジンの中でのシーン、あんなことを後ろのシートで長々とやられたら、運転手さんはどんな気持ちなんだろうかと思って観ていたら、やっぱり運転手さんは怒っていた。あれは運転手さんにあえて観客の気持ちの代弁させているのだと思った。と、私はどこまでもレオーネを擁護し贔屓してしまうねんw。


これがレオーネの到達点なのかもしれないし、集大成なのかもしれないけれど、やっぱり私はマカロニが好きなのかもしれないなあと、自分の嗜好を認識した映画でもあったような気もする。
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