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望郷のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

望郷(1982年製作の映画)
3.9
アンディ・ラウ目当てでラウのデビュー作を鑑賞。アン・ホイ監督とラウとの『桃さんの幸せ』がよかったので、タイトルからしてほほえましいのどかな作品を想像していたら、厳しく冷酷な、ベトナム戦争後のベトナムの状況が描かれていた。戦争映画の残酷さよりえぐみが強く、折々に入る凄惨なシーンにショックを受けた。

日本人カメラマン(香港人のジョージ・ラムが演じている)がベトナム戦争後のベトナムで見てしまう真実。復興とは名ばかりの厳格な統制と不満分子の粛清、広がる格差。反抗的な者は地雷回収に行かされる。貧困と少女売春。外国人に見せる管理された地域。取材には役人が張り付いている。

記者を日本人に設定したことで日本人に何か託された思いがした(アン・ホイ監督は中国人と日本人のルーツをもつ)。

南北統一後のベトナムの発展は著しいが、その裏で社会主義体制が行った残忍なまでの行いを告発している。

ベトナム戦争を描いた作品は多々あるが、その後とその体制を批判した作品は本作唯一ではないか。貴重かつ勇気ある作品。

アンディ・ラウは若く、その片鱗をまだ見せていなかった。
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