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大西部への道のHKのレビュー・感想・評価

大西部への道(1967年製作の映画)
3.5
三大スター競演の大作ながら、監督はムラのあるアンドリュー・V・マクラグレンだし、古い大味な西部劇かもと半分は期待せずに観ましたが、どうしてなかなかの見応え。
シネスコ・ワイドの画面にカーク・ダグラス、ロバート・ミッチャム、リチャード・ウィドマークが次々にクレジットされるとやっぱりわくわくします。

原題は“The Way West”。
19世紀半ば、ヨーロッパから西部に移住してきた大勢の開拓移民たちの、ミズーリからオレゴンへの山あり谷あり砂漠ありの幌馬車隊による壮大な旅が描かれます。

他作品では何度も名うてのガンマンを演じた主役3人も、今回はダクラスが元上院議員で幌馬車隊の参加者を募るボス、ミッチャムは雇われのベテラン・ガイド、ウィドマークは幌馬車隊の隊長ながらも農夫というそれぞれ意外な役どころ。撃ち合いもほぼナシ。

でも撃ち合いが無くても長旅の途中いろんな理由で命を落とす者も多く、当時の開拓移民の旅が実際いかに過酷で命がけだったか想像できます。
メンバーのほとんどは農夫や商人の一家ですから、旅の途中でインディアンに襲撃されたりすると、ひとたまりもなく全滅なんて話が多いのも道理。

ワイド画面に広がる大西部での幌馬車隊の大移動は壮観。
ロケーションも素晴らしく、やっぱりこんな作品は劇場の大スクリーンで観たかった。
主役3人ともに見せ場はあるものの、孤立する嫌われ者のリーダーを演じるダグラスはさすが懐が深い。本作では製作には絡んでいないようですね。

そして意外なキャスト、道中でイケメンの既婚者を誘惑して身ごもった上に捨てられるデビュー間もないサリー・フィールド(当時20歳)も印象的。
途中まではろくでもないキャラですが、終盤、他人の子と承知で「今じゃなくても、後から好きになってくれればいい」と結婚を迫る若者に「今はあなたを愛してないけど10年後には好きになるかも」と言って結婚を承諾するあたりになると憎めなくなっています。

しかし、今の派手なアクションやスピーディな展開に慣れてる人はこの映画のテンポに退屈しそうで、それは以前の私自身もしかり。
ところが、このゆったりしたテンポも悪くないと感じるのは、私が歳とった証拠ですかね。
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