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ワイアット・アープのHKのレビュー・感想・評価

ワイアット・アープ(1994年製作の映画)
4.0
今回のOKコラル・メドレーのラストにふさわしいローレンス・カスダン監督、ケヴィン・コスナー主演の3時間越えの大作。20年ぶりくらいの二度目の鑑賞です。
このコンビが以前組んだ西部劇『シルバラード』はエンタメに徹していましたが、本作はワイアット・アープという人物を深掘りした大河ドラマ風の作品となっており、OKコラルでの決闘を描いた作品群の中では最も重厚で格調高く仕上がっています。

他の作品はたいがいワイアットが既に有名人だったトゥームストーン時代から始まりますが、本作はワイアットの子ども時代からバッファローハンター時代を経てウィチタで初の保安官補助手となり、その後ダッジシティの保安官としてさらに名を上げ、トゥームストーンに移って有名なOKコラルの決闘からの壮絶な復讐劇までを描いた集大成と言えます。

OKコラルの決闘も他作品と比べワイアット側の一方的な虐殺に最も近いイメージです。
大家族の典型的な家父長制度の中で育った生い立ち、兄弟及びその妻たちとの微妙な関係、三度の結婚、家族を最も大事にするあまりその復讐のためには徹底的に冷酷になり切れるワイアットが描かれます。

本作でワイアットの親友ドク・ホリデイを演じるのは、余命宣告された肺結核のガンマンに見えるよう4カ月で20キロ近く減量したデニス・クェイド。
その妻の“ビッグ・ノーズ・ケイト”に今回は美人に見えないイザベラ・ロッセリーニ。
アープ家の家長には出番は少ないながらジーン・ハックマンが相変わらずの存在感。
ワイアットの兄のバージルのマイケル・マドセンの他、ビル・プルマン、マーク・ハーモン、ジム・カヴィーゼルなどがそれぞれ実在の人物たちを演じています。

さすがにOKコラル関連作品を7本続けて観るとキャストの記憶がグチャグチャに・・・
本作は過去の作品に比べ登場人物も最も多いし史実にも最も近いのかと思えば、主要人物と思われるジョニー・リンゴが登場しなかったりと解せない点もあります。
やはりいくつかある説を1本の映画にまとめるには限界があるのでしょう。

実は本作は世間の評価が思いのほか低く、ラジー賞にも多数ノミネート。
最低主演男優賞(コスナー)と最低リメイク・続編賞を受賞してしまっています。
アメリカの伝説の英雄譚のイメージダウンだから?
それともワイアットの3人の妻たちの魅力がイマイチだから?
私はかなり見応えのある作品だと思うんですが・・・
あ、観た後でさらに20分長いディレクターズ・カットがあるのを発見。
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