ハレルヤ

倫敦(ロンドン)から来た男のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.7
ある港町で駅の制御室で働くマロワン。港に入ってきた船から鉄道へと乗り換える人々を眺める中で、イギリスから来た男ブラウンが殺人を犯す様子を目撃する。殺された相手が持っていたバッグを海から引き上げると中には大金が入っていた。この件からマロワンの静かな破滅が始まっていく物語。

監督はハンガリーの名匠タル・ベーラ。監督の他の作品「サタンタンゴ」「ニーチェの馬」は既に鑑賞済みで、彼特有の作風は理解した上で鑑賞。

上記2作でも頻繁に使われたタル・ベーラ監督の得意技である長回し。それは早速オープニングから活かされます。港に着く船。船から降りる人々。列車に乗り込む人々。その裏側で行われるバッグのやり取り。そして殺人。これを15分近くワンカットで撮りきる凄さをいきなり見せつけられます。

その後も映画開始30分でわずか4カットほど。最後まで長回しのシークエンスがよく使われていました。いずれの場面もよく計算された構図で監督の映像に対するセンスがこの作品でも堪能できます。

平凡な男が突然犯罪に巻き込まれる。そういった内容で他では真似できない唯一無二の作風の138分。娯楽性はありませんし、間違いなくただ退屈にしか感じられない人もいると思います。

モノクロで描かれるからこそ感じられる心に吹きすさぶ寂しさ。ハマる人にはバッチリハマる作品でしょう。
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