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腰抜け二挺拳銃のhasseのレビュー・感想・評価

腰抜け二挺拳銃(1948年製作の映画)
3.6
演出4
演技4
脚本3
撮影3
音楽3
技術4
好み4
インスピレーション4

拘留中のカラミティ・ジェーンの救出劇→新任務へ、の導入シーンが流暢すぎて惚れた。一切無駄のないスタイリッシュかつ分かりやすい演出。そのくせ、ヤブの歯医者ペインレス登場の歯医者のシーンを長々とやるのとかセンス抜群すぎる。「うーん抜けないな…削るか!…うーんやっぱり抜くか…あっごめん別の歯抜いちゃった!」みたいなくだりヘラヘラやって何の意味があるんだよという(笑)
ペインレスとジェーンのインスタント結婚式のショットも秀逸。神父と二人の手元を固定で映して、ペインレスが全部の行動を間違える様をまたダラダラと(誉め言葉)撮っている。実にいいです。セットがチープすぎるのが目立つが、全然許せてきます。

仮面夫婦(ペインレスは大真面目だが)の二人の珍道中も面白く、ペインレスがヒーロー気取りで町でふんぞり返るくだりや無頼者ジミーとの決闘もよいが、その後は猛烈にテンポも面白さも失速した。また、ネイティブアメリカンへのナチュラルな差別的描写に、時代を考慮してもどうしても鼻白んでしまう。

そして特筆すべきはジェーン・ラッセルというグラマラスでがっしりした体格、鼻っ柱の強いワイルドでセクシーな面持ちをした稀有な女優の存在だろう。所作や性格は男性的で、暴力や違法行為も厭わぬ荒々しさながら、女の武器を存分に使って任務を遂行する強かさを持ち、キャラクターとして非常に魅力的。現代だと、どちらかになりやすいのだが。

ラストに、夫ペインレスの間抜けな「馬引き摺られ芸」を継承したのは、彼女なりの夫への愛情表現と言えるのかもしれない。(曲解)
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