山岡

キッチンの山岡のレビュー・感想・評価

キッチン(1989年製作の映画)
3.4
最近、映画を見なさ過ぎて感想の書き方がわからなくなってきた…とにかく、リハビリだと思って少しずつ見て、書いていく。

大枚叩いて買っておきながら途中まで見て放置していた森田芳光ボックスを久々に開放。

『愛と平成の色男』まで見たので、今回は『キッチン』。

ストーリーらしいストーリーはなく、トレンディドラマのようなお洒落なインテリアや衣装に囲まれた登場人物のゆったりとした日常を描いた作品。

癒し系映画として味わうこともできるが、作品世界の根底に流れる不穏なヴァイブス(特に雄一が白タクのドライバーとして金持ちの男をホテルまで運ぶシーン)が本作に不思議な魅力をもたらしている。

また、函館で撮られたという素晴らしいロケ撮影の数々。30年以上前の日本の風景なのに森田芳光の目線で切り取られることで、浮遊感のある非現実的な世界に見えてくれるから不思議だ。

そしてなんといっても映画初主演の川原亜矢子の存在感の素晴らしさ。優しい印象なのに芯が通っている、森田映画らしい女性キャラクターと彼女の雰囲気が見事にマッチしている。ほどよい棒読みも完全にプラスに働いている。

なかなか良い作品だった。
山岡

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