エリオット

虎鮫のエリオットのレビュー・感想・評価

虎鮫(1932年製作の映画)
3.9
ハワード・ホークスの1932年の作品。

主人公マグロ船の船長マイク(エドワードGロビンソン)は勇気もあり指示も的確で漁師の船員たちには一目置かれる存在だが、無骨で見てくれも良くない上にその左手は虎鮫に喰われて鉤爪のみで女にはモテない。
そんなマイクが鮫にやられた船員の娘に惚れて尽くすとやがて女もマイクを受け容れようとするが、マイクのそばにはいつもイケメンの親友がいて…

ハワード・ホークスお得意のプロ集団は今回マグロ漁をする漁師たち。
漁師たちが船上でマグロの一本釣りをする姿が本物っぽくめちゃめちゃ力強い。
77分の映画にしては漁の場面のほか港に帰港した船からマグロが水揚げされるドキュメント的な場面の長さが異常に長いのは「ピラミッド」など装置好きなホークス監督の面目躍如。

この時代、特撮技術などほとんどないと思われるのに漁師たちと鮫との対決シーンもなかなかの迫力!

ギャング役のイメージが強いエドワードGロビンソンだが今回は一方で鮫と闘う勇敢さを持ちつつ他方で左耳にピアスのような飾りをして若い女の子に純粋に恋する男を魅力的に演じている。

山田宏一氏の「ハワードホークス映画読本」にも4.5行しか触れられていない作品だが決して観て損はないと思う。


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