Jeffrey

マリアの恋人のJeffreyのレビュー・感想・評価

マリアの恋人(1984年製作の映画)
3.0
「マリアの恋人」

本作はアンドレイ・コンチャロフスキーが1984年にナスターシャ・キンスキーを主演に迎えたロマンス映画で、この度国内で初BD化されたのを購入して初鑑賞したがよかった。と言うよりかはナスターシャの魅力が非常に多く見れる作品で、彼女のファンにとっては忘れられない1本なんだろうなと勝手ながらに思う。さて、物語は第二次大戦直後、東欧移民が集まる田舎町。町1番の器量のマリアにつのる想いを抱えイバンが帰還する。変わらぬ想い告げ2人は結婚を誓う。しかし戦争の傷はイバンの心に思わぬ傷をもたらしていた。愛を交わせぬ生活に苛立ち、傷つくマリア。そんな彼女に思いを寄せる青年大尉や吟遊詩人、優しい義理の父。マリアは夫のイバンだけを一途に思いつつも、心は千々に揺れる。そんな折、イバンが失踪してしまう。狂おしいほどの愛おしさが悲しくすれ違っいい、傷ついた2人の愛はどこへ向かうのか…と簡単に説明するとこんな感じで、精神の愛が肉体の愛に勝るとき、互いの愛が悲しくすれ違う模様を描き、悲しく切ない思いの果てに、2人がたどりつく真実の愛を観客に目撃させた作風である。

収容所の悪夢が新婚生活に影を落とす若い夫婦。抱かれる苦しみを抱える若妻に、応えられぬ夫はその苦しみから街を離れてしまう。真実の愛と肉体の喜びが悲しくすれ違う不器用な夫婦の姿が、戦後間もない東欧移民の暮らしを通して絵画的な感触で絵画的に描かれる。ノスタルジックな楽曲も美しい知られざる名作がようやく国内で初のBD化されたのは嬉しいことだ。この作品は最初モノクロームから始まりバス停が描写された瞬間にゆっくりとカラーへ変わるのだが、オープニングのモノクロ映像は資料映像ではないが、すごくリアルな戦場帰還兵たちの大和が描写されていた。そこからは緑美しく虫の鳴き声が聞こえるのどかな田舎町の一角にたたずむ一軒家へ帰還した1人の白人男性が写し出される。そこでその兵士の父親らしき人物が日本人をたくさん殺したかと問いかける。彼は大分と一言。そして2人は食事をとる。とにもかくにもナスターシャの可愛らしさが前面に出た作品だった。
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