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華氏451のcamusonのレビュー・感想・評価

華氏451(1966年製作の映画)
4.0
近未来パラレルワールド。
この世界では、本(書籍)が禁止されていて、
市民の家に隠された本を探し出して、焼却処分を行う、
消防士(fireman)という職業が存在するという設定です。
華氏451度は本が自然発火する温度とのことです(web調べ)。

60年代の映像とは思えないくらい、おしゃれでモダンな映像です。
最近のレトロモダン調な作品にありそうな雰囲気です。
中でも、モノレールがいいです。橋脚のデザインや、
プラットフォームのない設計思想が素敵です。
消防士の格好も適度に全身タイツ的で、かっこ悪く良い感じです。

メディア統制と愚民政策のメタファー。というかそのもの。
古臭いテーマだと思ってしまいがちですが、
今まさに現在進行形の身近でホットな問題だったりして、
悲しくなったりもします。

途中、主人公は、足掻き、抵抗し、
最後に物語は詩的に静かに終わります。

この終わり方は、これでいいと思うのですが、
続きとして、
善良なるメディアによってつくられた善良なる市民達によって、
本の代替物がすべて焼却し尽くされてしまうという、
起こるべくして起こるであろう、より現実的な終幕を想像してしまいました。
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