HidekiIshimoto

華氏451のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

華氏451(1966年製作の映画)
4.0
ゴダールの『アルファヴィル』と足並揃えてトリュフォーもディストピアSF。子どもの頃TVで観てラストシーンが焼き付いた。ディストピアなんてまだ知らなかったけど、雪の中を往きかう「本の人」の姿が焼き付いた。理解はできずとも焼き付けばやがて読書にたどり着き、ブラッドベリー原作にもオーウェルの『1984』にもハクスリーの『すばらしい新世界』にもたどり着ける。解りやすいだけの映画は映画じゃなくてコンテンツ。コンテンツはここに出てくるような白痴メディアにたどり着き、たぶん社畜にたどり着く。けどブラッドベリーもオーウェルも、不毛教科書の暗記だけを勉めて強いることで活字アレルギーを引き起こし、禁じずとも本読まなくなるなんて手法は思い付かなかったと思う。けど今観ればずいぶん奇妙な映画。そして目指せヒッチコックな映画。音楽もちゃっかりバーナード・ハーマン。撮影もニコラス・ローグで奇妙なのはたぶんそのせい。色々入り混じりすぎて面白いような面白くないようなカルト映画化してるけど、ファイアーマン出動シーンかっけーと矛盾に悶えつつラストシーンはやっぱり焼き付いた。