イワシ

福沢諭吉のイワシのレビュー・感想・評価

福沢諭吉(1991年製作の映画)
4.0
素晴らしかった。仲村トオルが戦争に参加する件はレッドフォード『大いなる陰謀』を連想。

柴田恭兵が塾長として中屋敷の二階に昇り生徒たちがたむろする間に移動する様子を追うショットがまず素晴らしい。中盤までは語りも速く、榎木孝明との関係性も要所要所で端的に示されるが、決定的なのは赤い液体。赤いワインを飲み下す柴田恭兵と胸を撃ち赤い血を溢す榎木孝明。

仲村トオルと南野陽子が初めて出会うシーンが素晴らしい。オフの声に仲村トオルが振り向くと南野陽子も振り返りクローズアップで笑みを見せる。柴田恭兵が芋を焼いているところを訪れる場面も良い。預けた手紙は熾火に焚べられると確信するのは、柴田恭兵が芋の皮を何度も火に投げ入れているからか。

家老職を解かれた榎木孝明が慶應義塾の中庭で泥酔するシーン、6分くらいあるしクレーンショットも超絶だが、フォード的な一本の樹も良い。もはや蘭学は誰も学んでないのに蘭学ではお前に負けんと叫ぶ榎木孝明、序盤で柴田恭兵に向かって口と腹が違うと言い放ったことを憶えているのか。
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