KnightsofOdessa

アテネ/アクロポリスへの三度の帰還のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

3.5
[悲しみと歴史の街アネテの行脚]

"欧州の文化的首都"シリーズの一篇で、アンゲロプロスによるTV向け中編ドキュメンタリー。生まれ育った街アネテについての短いエッセイのような作品。アクロポリス時代に始まり、ビタンチン様式の教会、トルコ系モスク、現代的なマンションに残る生々しい弾痕に至るまで、深く長い歴史を感じさせる街をアンゲロプロス的視点で巡っていく(これがTV放映されるギリシャ凄いな)。イオルゴス・セフェリスによる詩、ヤニス・ツァロウチスによる絵画(上裸の若い男性天使のモチーフが現実世界にも登場)、マノス・ハジダキスによる音楽というアンゲロプロスのインスピレーションの源となった同年代のギリシャの英傑たちが集結している。主人公がアネテという街(そこには無名の住民たちも含まれる)になったいつものアンゲロプロス作品という感じ。広場に放置されたグランドピアノが忘れがたい。
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