吉風

スリープレスの吉風のレビュー・感想・評価

スリープレス(2001年製作の映画)
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なかなか面白い。ほとんど撮影監督ロニー・テイラーの映画としてだが。

冒頭の、シルエットになっていて顔が見えないマックス・フォン・シドー→血に濡れて泣いている少年→もう影から出ていて顔がはっきり見えるシドー、というところでノレる。

私の見たDVDがそうだっただけかもしれないが、夜のシーンはほとんど真っ黒で何も見えないのだ。それでいて、見せなきゃいけないものは目をこらせばちゃんと見える。このギリギリが見極められていて、結果、画面に良い黒が出ている。

最良のシーンはやはり、最初の列車内殺人で、闇の中を走る列車の窓だけが白く浮かび、まるで漆黒の中を白い窓の連続体だけが高速浮遊しているかのようだ。その白の中に閉じ込められて、殺人鬼から逃げ惑う女。この黒と白の対比が良い。

マックス・フォン・シドーは、女の人から過去の殺人を告白されてうっすら泣きそうな表情を作ってしまうあたり、相変わらず分かりやすくて退屈だが、クラシカルな雰囲気を映画に呼んではいるので良しとしたい。他の俳優はおおむね印象に残らない。
吉風

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