生姜異物強壮

バーチャル・ウォーズ2の生姜異物強壮のレビュー・感想・評価

バーチャル・ウォーズ2(1996年製作の映画)
1.8
わたしのスコアは、あくまで前作の「続編」と考えた場合の点数。

全くの別作品と位置づければ(さすがに💦この内容で3点はやれないが)2.7くらいの出来である……が、そう捉えるのも実は相当に困難だ。

というのも本作、冒頭シーンは前作のラスト=研究施設が爆破されるところから始まる。ジョーブはホストコンピュータ内部から逃れ、どこへ逃げたか。草薙素子みたく、ネット(※1992年のインターネットは今ほど広大無辺な空間ではない)の海にダイブしたのか?

否!!

それが違うんである。本作によれば、ジョーブは元々の自分の肉体に戻り、あの大爆発のなか重度の火傷を負いつつも、救命医療班に発見され奇跡的に一命を取り留めるんである。

なんじゃあ、それ!??^^; 前作の余韻は早くもブチ消される。

で、仮想現実技術で先駆け、その威を借りリアル現実を支配せんとする(前作とは関係ない新たな)輩に取り込まれて、無から仮想世界を創造し、その首都中枢を制御する「創世主もどき」として雇われる。改めて、地道に&忍び寄るよーに(世界を制圧し)君臨し始めるんであった。

で、舞台は唐突に「未来(?)」に飛ぶ。

よーワカらんが、冷たい酸性雨の降りしきる『ブレラン』みたく真昼も暗~く退廃した都市が当作の舞台……らしい。制作サイドとしちゃ、願わくば『ブレラン』みたく描きたかった?らしーのだが、無念。 かけられる予算が(アレに比べたら何十分の1ってほど)超!チープだったっぽい懐事情、誰が観ても一目瞭然なんだな(哀涙)

その結果、B級作品のレベルにすら届かないくらいの「未来感には凡そホド遠い、糞ダサい光景」がダラダラと銀幕に展開するハメに…。

前作たァ違って、本作の制作年=1995年(※公開は’96年)にゃ、ある程度ホビーユースPCがアメリカの一般家庭にも出回ってて、それなりにIT技術も萌芽を見せはじめてたんだが…。ま、カネが無きゃ「最新のモノは諦めて中古で」みたく、妥協しまくるっきゃない。結局、当時なりに最先端でCOOLだったガジェット要素すら、収録シーンの中には活かせなかった。

さらに、である。
 
リハビリ経て再始動のジョーブ演じる俳優さんもパート1とは代わり、かの「マックス・ヘッドルーム」を演った人になった。全然、顔つきも雰囲気も違ってしまい、あたかもゴッサムシティのジョーカーみたく「必要以上にニタニタ歯を見せ嗤う、道化がかった冷酷漢」キャラへと変貌しちまった。

そもそもだ。前作から(同一俳優で)引き継がれたキャストにして登場キャラは唯一、(前作で博士の隣の家の子だった)ピーターだけ!なんで。ピーターの母親や(ジョーブと主演キャラ双璧の一方を担った)博士は一切、最初から無かった存在か?のごとくキレイさっぱり消されてる。

その「ピーター」君。 第1作は(撮影時の)実年齢10歳で9歳くらいの役だったが、今回は実年齢14歳で17歳くらいの役。4年後の制作で、役年齢が「8歳老けた」ってコトはだよ。つまり、本作の舞台設定は「制作年の4年先の"未来"」ってイメージになる。公開時から言や、西暦2000年頃(のつもり)か。

たった4年ぽっちで「酸性雨の降りしきるブレラン的世界(ユニバース)」???って話で、そりゃあ理屈から言って無理だわ(唖然)

鑑賞中、自分のアタマは終始困惑……とてもじゃないが、本作が設定し、繰り広げている光景の位置する座標軸に、わたしの心の内の"鑑賞軸"をシンクロさせることは出来なかった。

という次第で、確定スコア「1.8」。

クドいだろが最後に今一度、言っとく。あくまで前作の(まだしもB級映画として見応えあった大団円までの)流れの余韻に酔ってたい人は、このパート2、パート3は断固!!スルーせよ。本作は(せっかくの)その余韻を吹き飛ばす奇怪作でしかないし、第3作?に至っては、そもそも両作とは無関係に作られた作品に同シリーズ紛いの邦題を振った「タイトル詐欺」だ。