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小間使の日記ののんchanのレビュー・感想・評価

小間使の日記(1963年製作の映画)
3.8
ルイス・ブニュエル鑑賞3本目。

ブニュエルの特徴はブルジョワ風刺と社会批判にあるようだが、これはコメディなの?と思いながらもブニュエルの変態性を楽しみました。

時代は1930年代半ばのフランス。当時フランスは右派・左派の政権が短期間で入れ替わった時代で、ブニュエルはスペインにいたものの左派側で反戦し敗北して国外逃亡したらしく、フランス政治への恨み節を込めた作品とも言われているようです。


セレスティーヌ(ジャンヌ・モロー)はパリから田舎の貴族の家に奉公します。
ご主人(ミシェル・ピコリ)は妻に頭の上がらない女好きの役立たず。
妻の父親は女性の靴に異常に偏愛している変態。セレスティーヌを呼んでは「素敵な名前だけど、ちょっと長いからマリーと呼ぶよ。ふくらはぎ触っても良いか?この靴を履いておくれ..」と迫って、ある晩、セレスティーヌのブーツを抱いたまま息絶える。

隣家の主人は退役軍人で、両家は犬猿の仲。セレスティーヌに好意を抱いて隣家の情報を吹聴する。

ある日、セレスティーヌが可愛がっていた近所の少女が森でレイプされ殺されてしまう。
その犯人は下男のジョセフだと踏んだセレスティーヌは、好奇心のままジョセフを誘惑し、婚約して気を許したところで自供させようと企む...


ジャンヌ・モロー(当時35歳)は可愛らしいメイドの格好はするものの、どこか優雅で高圧的。田舎に似合わない洒落た洋服を着て素敵な帽子を被ってる。
ラストもとっても彼女らしい表情を見せる。
モローの妖艶さ、倦怠感などの独特の雰囲気は30代から変わらない。
モローの良さの詰まった演技を堪能する作品でした。面白かった。
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