ぽち

四谷怪談のぽちのレビュー・感想・評価

四谷怪談(1959年製作の映画)
3.0
当時50歳だったが「二枚目俳優」と言う看板を背負っていた長谷川が主役のためか「善人の伊右衛門」と言う異色のキャラクターとなり、一味違う四谷怪談を楽しめた。

映画は恨みでリベンジしまくる元の陰湿さが、善人伊右衛門の派手なチャンバラに置き換わったので、バッドエンドではあるが桃太郎侍的な爽快感がある。

現代から見ると様式美とも取れる歌舞伎や狂言に通じる演技で、そこに違和感ではなくノスタルジーを感じられると楽しめる作品。

余談。
お歯黒のせいで素顔は綺麗な田中康子が変身する前から異様な雰囲気。
時代を考えれば既婚者がお歯黒なのはリアリティなのだろうが、そこは無視したほうが良かったのでは?

で、ちょっとお歯黒について調べたのだが、今まで歯を黒く塗って醜くすることで既婚女性の貞操を守っているのかと思っていたら大間違い。

当時はそれを「美しい」と素直に感じていたそうだ。歯並びの悪さや黄ばみなどを隠す効果で美しく見えるということ。

それに
「染料が口腔内の悪臭・虫歯・歯周病に予防効果を持ち(原料は後述)、口腔の美容と健康の維持のため欠かせないたしなみであった。」
という事で健康維持にも一役買っていたようだ。

200年後の人々は今の女性をどう見るのだろう?などと考えてしまった。
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