猫脳髄

四谷怪談の猫脳髄のレビュー・感想・評価

四谷怪談(1959年製作の映画)
3.4
黒沢清「ホラー映画ベスト50」(1993)第7位。

同年に中川信夫版も製作されており、そちらは第10位にランキングされている。翻案により、長谷川一夫扮する伊右衛門が事後従犯もしくは周囲に騙されてお岩(中田康子)を手打ちにし、その後、真相を知った伊右衛門が罪責の念からお岩の復讐を果たすという趣向になっている。

全体観はいかにも大映時代劇と言った所作とセリフ回し。人が斬られてもすぐさま平然と会話が続くというシーンには苦笑してしまうが、恐怖描写には特筆すべきものがいくつかある。

なかでも毒薬により顔が崩れたお岩が、伊右衛門に捨ててくれるなと取りすがり引きずり回されるシーン、お岩の死に装束をつけた桶から伸び上がる腕、クライマックスでお岩の着物が浮遊して伊右衛門に覆いかぶさる描写などは、それぞれ忘れがたい。
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