櫻イミト

四谷怪談の櫻イミトのレビュー・感想・評価

四谷怪談(1959年製作の映画)
3.5
黒沢清監督が日本ホラー映画史上ベスト1に挙げた大映版「四谷怪談」。監督は「座頭市」「子連れ狼」シリーズなど時代劇の巨匠・三隈研次。主演は長谷川和夫。

※同・ベスト2は本作と同年同日に公開された新東宝「東海道四谷怪談」(中川信夫監督・天知茂主演)。

ベースは娯楽時代劇の演出なので登場人物に共感しやすく作られている。伊右衛門(長谷川和夫)の人物設定も、結果的にはお岩を捨てるので罪はあるにしろ、周囲から利用されはめられた感が強められている。

お岩が遠くにチラリと映る恐怖演出は後の”Jホラー”に通じるものがあり、黒沢監督が推すのもわかる気がした。

中川監督の「東海道四谷怪談」は格調高い大傑作だったが、本作も美術演出共に良く出来た娯楽性の高い一本だった。両作の興行成績はどうだったのだろうか?
櫻イミト

櫻イミト