このレビューはネタバレを含みます
たんなるお涙ちょうだい映画なら、先生に学校を去らせればいいはず。「先生、いかないで!」と。
でもそうしなかったのは、この映画は登場人物ひとりひとりの物語だからだろう。社会とどこかなじめないひとりひとり(先生さえも、学校教育のしきたりになじめない)が、夜間学校という束の間の居場所をみつけ、いっときの安らぎの日々を送る物語。
この映画に心打たれるのは、僕たちが生きる現実の社会があまりにも、自分たちと異なる人たちを弾き出す力が強いからじゃないだろうか。ほんとうは、みんないろいろ背負っているのに、それを隠さないと上手に生きていけない。
だから、ありのままの自分を受け入れてくれる夜間学校という場所、先生や仲間たちの存在のやさしさに、胸を打たれる。たとえそれが束の間のものだったとしても。