hiro23

学校のhiro23のネタバレレビュー・内容・結末

学校(1993年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

なんかじんわりくる映画が観たくなって久々の再鑑賞。
おそらく20数年ぶりじゃなかろうか。

わずか半日ぐらいの夜間学校の出来事を追っていくだけなんですけど、過去を振り返りながら登場人物を丁寧に説明していくので、一人ひとりの顔や性格が自然と頭に入ってきます。
登場人物を一遍に紹介されちゃって訳がわからなくなる映画もたまにあるので、こういう所うまいなーと思いました。

クラスの生徒は少ないながらも、夜間学校に通う理由も様々で、かなり重い過去を持っている人も数人いる。
特に私の心に響いたのは、後半の主人公とも言える田中邦衛演じるイノさん。
彼は壮絶な人生を歩んできたらしく、苦労に苦労を重ね、若い頃から勉強する間もなく働いて、年をとってから勉強したいと思う。
(私も訳あって、かなり年をとってから好きな事を勉強したクチなんで、少しわかるのですが)
こういう人達にとって勉強できる場があるというのは、本当にありがたいし、助かるんですよね。
なので、イノさんは幸せだったのか?と、みんなが話し合うシーン、
私は、楽しい仲間とやりたかった勉強をできただけで幸せだったと思うんですよ。

ここまで真剣に考えてしまうのは、田中邦衛の凄まじいまでの演技力に引き込まれたからだと思います。
カタカナを必死に勉強している姿や、オグリキャップのシーンなんかはそれだけで泣けてきます。
元々こんな人な気もしますが、すばらしい演技でした。

それと、若い頃観た時は感じませんでしたが、人種差別や登校拒否なんかの問題への投げかけもあって、これはすごく良い映画ですねぇ。
それに対する答えは出ていませんが、その答えを出す場所が学校という事なんでしょう。

外は薄暗くなっているのに、教室の中は明るいという授業風景にじんわりしましたし、久々に観てよかったです。
山田洋次監督はこういう人情物を撮らせたら右に出る者はいませんね。
続編を観た事がないので、近いうちに観てみようかと思います。
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