二瓶ちゃん

がんばっていきまっしょいの二瓶ちゃんのレビュー・感想・評価

がんばっていきまっしょい(1998年製作の映画)
4.0
知り合いのウディアレン大好きおじさんに愛媛県の映画はあるか、と聞いたら今作を勧められたのでDVDを取り寄せて鑑賞。

学校でのシーンや、友人との会話、心にしまっていた思い。想像以上にベタベタの青春ドラマだった。

もちろん、ご当地映画としての要素もあり、主人公たちのいる高校などその骨頂。「伊予東」高校は存在しないが、「松山東」高校は存在し、なんと校訓に今作と同じものが存在している。

フジテレビが関わっているけど、シネコン向けの大仰な映画というわけでもなく、独特な音楽のセンスもあってか、消費されるだけの作品にしていない。きっちりと映画をしていた。ラストもちょっと苦くて、サラッと終わった感じ。

まぁ、スポ根ではあるんだけど、見ている側としては、イメージとしてみずみずしさが残る。高校に入ったばかりのまだ「こども」っていう感じとかもあって、こういう青春もあったんだなぁって思える。他のレビュワーの方が仰るように、今作はちょっと何日間か空気感を引きずってしまう映画かもしれない。

田中麗奈さん、映画無知な私としては知らない人だったが、満島ひかりと福田麻由子の間ぐらいの顔を今作で見せており、役柄も相まって中性的な印象を受けた。

そりゃスポーツをするんだし、ボートとはいえ努力もドラマの中心に添えられるから、がんばらなくちゃいけないことが多いんだけど、その点タイトル回収がしつこすぎなくて好感。

原作は未読。ドラマ化もされたらしい。
ちらちら出てくるけど恋愛要素はあくまでもおまけかなと。コーチの過去は明かされなかった。

最後のボートシーンの女生徒たちから生命の力強さを感じた。あと、女子生徒たちの格好やカット割が、今日的基準からしたらフェチと言われるものになるのかもなとも思ったが、今作の主人公は水、船、ヒト、そんな感じだと思った。

子役たちのセリフや方言は聞き取れない部分があり、ベタベタにも程がある青春の情景が映されており、荒れ果てた部室から過去を振り返り、現在には何の言及もないラストだったが、しっかりご当地映画だったし、ボートという競技への関心を呼び覚ましてくれたし、学生時代を振り返る瑞々しさ、そしてそうした雰囲気を閉じ込めたものを感じたのでこの評価。

あと数日は映画観なくてもいいかもなぁってぐらいなんか余韻。この頃からギノーみそってあったんだ。