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牡丹燈籠のHKのレビュー・感想・評価

牡丹燈籠(1968年製作の映画)
3.5
カラ~ン、コロ~ン・・・しんざぶろうさま~
日本の怪談の古典といえば「四谷怪談」「番町皿屋敷」そしてこの「牡丹燈籠」。

長屋住まいの浪人を見初めて毎晩会いに来る若い女は実は幽霊、浪人は日に日にヤツレ・・・というアノ話です。

しかし本作の原典が落語だったとは知りませんでした。
中国の古い怪異譚にいろいろと肉付けして三遊亭圓朝が明治時代に創作したものだとか。
これまでに何度も舞台やTV、映画になってますが本作は山本薩男が監督した1968年版。

久々に見るオープニングの大映の文字。
出演は浪人の新三郎に本郷功次郎(当時30歳)、幽霊のお露に赤座美代子(当時24歳)、子悪党の夫婦に『水戸黄門』の西村晃(当時45歳)と『浮世絵女ねずみ小僧』の小川真由美(当時29歳)、医者に志村喬(当時63歳)と芸達者な手堅いメンバー。
皆さん若い。志村喬はいつもと変わりませんが。

相手が死人と知って抵抗する新三郎に対し「この世の酷い仕組みに屈せず、よくぞ死をもって抗ったとなぜ褒めない」という幽霊のセリフがいかにも『戦争と人間』『華麗なる一族』など社会派の山本薩男っぽい。

ところでコレお盆の話だったんですね。灯篭流しに蚊帳、まさに日本の夏。キ〇チョーの夏。
遠くから幽霊が燈籠の灯かりとともに徐々に近づいてくる気配がなんとも・・・
幽霊の浮遊(操演)もスムーズ。この時代の幽霊メイクも懐かしい(骸骨はちょっとチャチですが)。

私が子供の頃、真夏の土曜の夜は『仮面ライダー』『8時ダヨ!全員集合』『キイハンター』と立て続けに必ず怪談ネタをやっていたのを思い出します。

そして、『異人たちとの夏』も思い出しますね。
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