昼行灯

牡丹燈籠の昼行灯のレビュー・感想・評価

牡丹燈籠(1968年製作の映画)
3.7
新三郎と寝てるお露の身体がガチ骸骨というよりかは骨が皮膚から浮き出てるって感じが新しい。理科室の標本みたいな骸骨だったらギャグだけど、骸骨と人間の狭間っていうのがまたアブジェクション。
あと足を隠すんじゃなくて、吊られることで、着物の裾から足が出てないってのもアイデアだなあ。そのおかげで移動も浮遊感ありつつスピードが出てる。足が地についてないのに足音がするっていうのも古典を踏襲してるし。
照明によって、幽霊ふたりの影が背景の闇夜に溶けてるような効果もよかった。新三郎は行灯の近くにいるから輪郭がはっきりしてるっていうのもなかなか凝ってた。セックスする時でさえお露のシルエットだけが影に溶けてて徹底してた。

新三郎がお露に呪い殺されると分かってても愛してるという解釈は新しかった。死にたくない理由が寺子屋を存続し、子供たちの未来を明るくしたいからっていうのと、お露を好きになったのが金がなくても武家のプライドを守りたいから自殺した気概に共感したっていうのがまた社会派。子供たちの未来をとるか、恋をとるかで悩む新三郎を描いていて、もうこれメロドラマやんとなる。お露が新三郎を好きになったのは、新三郎が灯篭流ししてくれたからっていうのがちょっと甘いかなとは思った。

あとお米喋りすぎな。お前はでしゃばんな🥹お米が喋りすぎるからお露は別に新三郎と添い遂げられなくてもいいように写った。お露はなよなよしてるだけで、新三郎を操ってるのは実質お米よな。だからお米は自分が叶えられなかった恋愛をお露の恋に仮託してるのかなって感じ。

ラストの子供たちが新三郎を送り出すシーンが冒頭で新三郎が子供たちと死者を迎えてたシーンと遂になってて、上手く収まってるなと思った。あとお露の太鼓の掛け声がまるきり違う人で笑った
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