ハマジン

幸運の星のハマジンのレビュー・感想・評価

幸運の星(1929年製作の映画)
4.5
第1次大戦の負傷で下半身不随になった元電気技師の男ティム(チャールズ・ファレル)と貧しい農場の娘メエリー(ジャネット・ゲイナー)の恋愛メロドラマ。盗み癖のある小汚い娘だったジャネット・ゲイナーが、みるみるうちに愛らしく変貌していくさまを見ているだけで幸せな気持ちに。卵シャンプーで洗ってふわふわに輝く彼女の髪の毛を見たティムの感嘆を表す、「君はブロンドだったのか!」という字幕に悶絶した。

2人の仲が深まる場面での割れた窓を介した美しい切り返しショットの直後、ティムからもらった小さなレコード・プレイヤーを大事そうに抱えて家路に着くメエリーをとらえたロングショットで、レコード・プレイヤーが一瞬キラッと光ってフェード・アウトするくだりなど、計算しつくされた光の演出が素晴らしい。

ティムが二本の足で何とか歩いてみようと、車椅子から這い降りつつ松葉杖をつかんで立とうとするも、努力の甲斐なく床にくずおれるまでをローポジションでとらえた、当時(1929年)としては破格の2分半以上の長回し1ショットは、チャールズ・ファレルの迫真の演技含めあまりに凄絶で。塩田明彦監督『抱きしめたい~真実の物語』で、北川景子さんがみせる歩行訓練のシーンは本作を参照したのでは、と見ながら思ったりしました。
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