半兵衛

懺悔の半兵衛のレビュー・感想・評価

懺悔(1984年製作の映画)
4.0
決して見ていて楽しい映画ではないし二時間半という長い尺もしんどかったけれど、権力の横暴やその犠牲にされた市民たちの苦痛を生々しく突きつける作風は胸をつかれたしそれがエンターテイメントになることはなく彼らを蔓延らせてしまった内省や怒りを絶叫しているような造りになっているところにソ連という国の歴史の受けた痛みを感じさせた。

自分の権力を維持せんがため異端者を容赦なく排斥していく市長のやり口がリアル、そして部下たちの対応や心から尊敬していないけれど利用価値があるし出世の糸口になるから支える距離感がもっとリアル。そして市長の顔立ちや格好が20世紀君臨した絶対的君主のような政治家のよう。

同じ「権力者の死」をテーマにした『市民ケーン』よりも凄惨でシニカルなラストに絶句。

それにしても80年代にこうした映画を作った国にまた絶対的権力者が君臨しているというのも皮肉、そしてウクライナの失敗をチャラにするため世界に荒波を起こしてあわよくば国の勢力を盛り返そうとしているのがなあ…。
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