とてもよくできた茶番風戯曲。ヴァルラム市長のキャラ立ちが素晴らしい。ハイテンション顔芸からのすべり芸、今の日本に現れたら文句なしのR-1グランプリ。しかしテーマはジョージアだけの「特殊」ではない。もちろん今やウクライナで反復されているロシア問題だが、この映画の射程はもっと遠く「お爺さんの罪をその孫はどう受け入れるか」という世界史的普遍的問題。たとえそれが国家の名において為されたことでも。いやそうであるならなおさら。2016おりしもオバマが広島に。原理的には責任はない。しかしこれは感情の問題なのだ。多くの国が、自らの黒い歴史と格闘しつづけている。「教会への道」ではない道にも意味も希望もあると信じたい。
