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若き勇者たちの東京キネマのレビュー・感想・評価

若き勇者たち(1984年製作の映画)
4.5
実に面白い。傑作ですね。監督・脚本は、黒澤明チルドレンを公言してたジョン・ミリアス。開巻、政治的設定要件がテロップされますが、政治的な意図は全く感じられませんし、タカ派的な戦意高揚映画というのも間違いです。敢えて言うと、第三次世界大戦少年少女ゲリラ部隊のサバイヴァル英雄譚といった所でしょうか。

“戦って死ね”とか“裏切り者は殺す”とかまるで「桜花散る」サムライ映画のようですが(黒澤明フリークなんで、これはどうしようもありません。笑)、実はしっかりした家族愛がテーマです。ちなみに、エンド・シーンで弟が死ぬ場面にブランコが登場するのは、黒澤明『生きる』の志村喬へのオマージュらしいですが、バックにちょっと見えてるだけなんで、良く見てないと解りません。だって兄弟二人が抱き合ってる場面じゃブランコに乗れないしねえ。。。(笑)

脚本がしっかりしているせいだと思うのですが、キャラクターの作り込みは抜群ですし、出演者も素晴らしいです。パトリック・スウェイジは何をやっても美しいし、リー・トンプソンやジェニファー・グレイ(『キャバレー』に出てた、あのジョエル・グレイの娘さん!)も実に面白い使い方をしているし、若い頃のC・トーマス・ハウエルやチャーリー・シーンも本当に純朴そうな青年を好演しています。尚且つ、ベン・ジョンソンやハリー・ディーン・スタントンといった名優が脇を押さえているのでドラマが重層的に仕上がってます。

お話としては、革命共産国家軍による米国侵略戦争が起きた、ってだけの話なのですが、良くこれだけ人間ドラマとして膨らませられたなあと感心しました。これは黒澤明が残した財産ですね。。。
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