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私はモスクワを歩くのROYのレビュー・感想・評価

私はモスクワを歩く(1964年製作の映画)
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瑞々しい

■ABOUT
1960年代前半の自由な空気のなか、青春を謳歌するモスクワの若者たちの一日を瑞々しいタッチで描く。当時18歳だったニキータ・ミハルコフが出演、撮影はタルコフスキー作品を多数手がけるワジーム・ユーソフ。(「ロシア・ソヴィエト映画/ゲオルギー・ダネリヤ追悼」より)

■NOTES
◯ロシア人は雪解けを、自由、希望、変革の時期と記憶している。モスクワっ子のヴァレンチナ・サドヴァヤさんは、フルシチョフの雪解けの時、学生だった。著書『グラグ(矯正収容所)の思い出とその作者』の中でこう書いている。

“スターリン崇拝が非難され、広く恩赦が与えられたことを覚えている。書店ではソルジェニーツィンの本を購入することができるようになった。頻繁に美術展に行き、自由を感じ、ひそひそと話すのを止め、大声で話し始めた”

◯雪解けの時には文化的ルネッサンスが起こり、ベーラ・アフマドゥーリナ、ロベルト・ロジュデストヴェンスキー、アンドレイ・ヴォズネセンスキー、エヴゲニー・エフトゥシェンコなどの作家や詩人、マルレン・フツィエフ、ゲオルギー・ダネリヤ、レオニード・ガイダイなどの映画監督が、次々に作品を作った

(アナスタシヤ・マリツェワ「『雪解け』が民主主義の始まり」『Russia Beyond』2015-01-14、https://jp.rbth.com/arts/2015/01/14/51691)

■STORY
昨日まで全く面識もなく、数千キロも離れたところで生活していた2人が、今日は、偶然、地下鉄の同じ列車の中に隣り合わせで乗っていた。2人は同じ年頃の若者で、自分では既に大人のつもりだが、まだ子どもから抜けきっていない。その一人であるコーリャは、モスクワ生まれ、地下鉄の工事現場で働いている。ちょうど夜勤を交替して家に帰るところだった。もう1人のワロージャは、シベリアの奥地に住んでいるが旅行の途中、一日だけモスクワに滞在する予定で、たった今飛行場に着いたばかりだった。柔らかい朝の太陽の光に目覚めようとするとするモスクワの街を歩いて行く。街には、まだ夜の照明が点いていた 。
◯コーリャの親友サーシャは婚約者と口論しながらも、黒い礼服を買い、5時からその服を着て結婚式を挙げることになっている。アリョーナはデパートのレコード売り場の可愛い売り子だ。
◯この4人がいつしか出会い、いつもと違う慌しさに巻き込まれていく。コーリャは、遠来の客ワロージャをもてなしたり、友人のサーシャが結婚式を前にして軍から召集命令が来て、軍事部に行って延期を願ってやったりと大活躍。
◯デパートでは、アリョーナがコーリャとワロージャとの心を一遍に捉えてしまう。ワロージャは雑誌に短篇小説を発表したことがあり、それがある有名な作家に認められたので、ワロージャはコーリャと連れ立ってその作家を訪ねる。扉を開けてくれた床磨きの男を二人は作家と思い込んで感激して話に耳を傾ける。
◯コーリャはアリョーナの気をひくため催眠術ができることを自慢するが、催眠術の実験がもとで、泥棒騒ぎに巻き込まれ警察に捕まってしまう。
◯どうにか事件も終わって、4人は、サーシャの結婚式に集まる。もめにもめたサーシャの結婚式もどうやらめでたく挙行され、愉快な一日が終わる…

■THOUGHTS
冒頭のカット好きだな。

かわいいポータブル・レコード・プレーヤーが出てきた。

16分くらいで英語を勉強する男が登場する。この時期くらいから世界に出るための英語教育が本格化したのかな?そういえば小津の『お早よう』(1959)でも子どもたちが拙い英語を話してたな。21分あたりでは、日本人が英語で道を聞いてた。中国人と間違われてたけど笑

奥行きの使い方がさすがタルコフスキー組
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