このレビューはネタバレを含みます
シベリアから出張でモスクワを訪れた青年ワロージャとモスクワっ子のコーリャは乗り合わせた地下鉄で知り合い、街を探索する。
コーリャの友達でその日、結婚式を控えるサーシャは軍の急な召集に困っていた。
レコード店に勤めるアリョーナは買い物に来たコーリャとワロージャの心を一編に掴んでしまう。
その日、出会ったばかりのコーリャ、ワロージャ、アリョーナの3人を軸に、若者の何気ない1日を瑞々しく捉えたラブコメ。
いきいきとした人物たちが無軌道に動き回る。
自転車に乗って右から左へ。
泥棒を追いかけ奥から手前へ。
回転遊具は上下にぐるぐると。
柔らかな躍動感がスクリーンを覆う。
犬にまつわるやり取り、タクシーの件、夜の盛り場の徘徊、ドタバタの結婚式、そしてラストの地下鉄のホームの素晴らしさ。
全てが夢のような一期一会。
人生で忘れらない日があるとすれば、きっとこんな1日だろうし、こんな風に生きてみたいとさえ思えた。
若者たちと共に魅力的なモスクワの街並み。それを捉えるカメラの妙味。
「私はモスクワを歩く」のタイトルのままに、彼らと一緒に歩き回った気持ちにさせてくれる快作。