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極道ペテン師のandesのレビュー・感想・評価

極道ペテン師(1969年製作の映画)
3.9
原作は未見。大戦中の不発弾の設定で、五社英雄版の「肉体の門」を思い出した。本作もなかなかの怪作。さて、この不発弾は「戦争」のメタファーであることは明らかで、役所の反応など「もはや戦後ではない」時代への風刺・皮肉でもあるのだが、話が散らかっており、意図せずカルマ的な展開もある。
西成ロケのパワフルな演出、芸達者な役者による掛け合いなど楽しめる要素が多い。カメラも面白くオープンカーのシーンは同時期のアメリカ映画のようだった。
十分面白いのだが、まとまってない部分も多い。社会風刺色が強いのに、個人の「選択」による結果が強く、何が主題なのかはっきりしない。インポのくだりに深い意味はあるのだろうか。コメディパートとシリアスパートも唐突だし、寓話なのか現実的なのかも中途半端。安保闘争時代のメッセージもまぁ結構だが、即物的なエピソードが多い。
90分ではまとめきれていないが、このパワフルさは強引な演出によるもので、映画というのは難しい。当時の釜ヶ崎など資料的価値は高そう。
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