青二歳

レッド・オクトーバーを追え!の青二歳のレビュー・感想・評価

3.9
いくらハリウッドといえどマルタ会談は予測できませんよね。冷戦に終止符が打たれ世界が新機軸へ想いを馳せる89年の年明けに…米ソ攻防戦の潜水艦映画が公開。当時皆ちょっと気を遣ったんじゃないか…?いや面白いんですけどね。同じく90年にショーンコネリー主演でスパイ映画が相対主義に陥る"ロシアハウス"が製作されていると思うとなお興味深い。

さて潜水艦映画としてとても面白いんですが、人物描写が最低限というのが却ってよく出来てるなと思う作品です。ショーンコネリーの亡命理由はいまいち描かれないのですね。人物描写、内因表現を掘り下げるより"肩書き"で多くを語らせちゃう。"ソ連"の、"エリート軍人"で、潜水艦長を歴任してきた男…それだけでなんか妄想させてくれる訳です。いいですね。今の時代だとそういう説得力のある肩書きってなんでしょう。
ベテラン艦長の亡命理由は明示されないながらも、どうも人生を振り返ってヤケクソ気味のご様子。ショーンコネリーの実年齢はこの時59〜60歳のようですが、どうですかね…60歳ってやっぱり節目なのかしら。まず退職や老後を考え始める歳であることは確かでしょう。
この艦長…情緒を打ち消していえば「老後の生活はのんびり釣りでもしたいぜ」と戦略原潜をアメリカに引き渡しつつお引越ししてるだけの話です。それを世間では亡命と言いますが。
青二歳

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