かたゆき

ドゥームズデイのかたゆきのレビュー・感想・評価

ドゥームズデイ(2008年製作の映画)
3.0
2035年、スコットランドはもはや世界から見捨てられた地と化していた。
2008年に大発生した殺人ウィルスによって当時の住人は大多数が死滅。感染拡大を恐れたイギリス政府は、巨大な壁を建設し、スコットランドを完全に隔離してしまったのだ。
取り残された人々は生きるために略奪や暴行、果ては食人行為にまで及んだが、それもやがて消えてしまった――。
幼いころにその地から救い出されたシンクレアは、今や特殊部隊の精鋭として日々凶悪な犯罪と対峙していた。
そんな折、彼女に極秘任務が下る。
なんと、壁から遠く離れたロンドンで新たな感染者が確認されたというのだ。しかも時を同じくして、隔離地区内で生存者と思われる人間の姿も確認される。
どうやらこの地に取り残された、免疫学の権威であるケイン博士がワクチンを開発したらしい。
「人類の危機を救うため、今から壁の向こうに行きワクチンを取ってきてくれ」
やむなくその任務を受け入れたシンクレアは、仲間たちとともにすぐさま死の世界へと侵入する。
期限は、48時間。だが、そこには感染者よりも恐ろしい存在が待ち受けていたのだった…。
殺人ウィルスによって荒廃した近未来を舞台に、世界から見捨てられ暴徒と化した無法者たちを相手に戦う美しきヒロインを描いたダーク・アクション。

もっとゾンビ的なやつと戦う内容かと思いきや、意外にもこれってパンクな無法者の食人族集団と戦うお話だったのですね。
モヒカンやらタトゥーやらピアスやら、イカレタ敵の皆さんはもう完全に『マッドマックス』のそれ。
他にも装甲車で侵入するシーンは『エイリアン2』だし、隔離地区内での戦闘はありがちなゾンビもの、そもそも主人公のスタイリッシュ・ヒロインという造形は完全に『アンダーワールド』。
そして、中盤からはまさかの『ロード・オブ・ザ・リング』もどきの中世騎士ものになるというぶっ飛び展開。
クライマックスは、もはや何が何だか分からない『マッドマックス』ばりのカーチェイス。
いや、さすがに盛り込み過ぎっしょ!
これだけ盛沢山な内容を一つに纏めようと言うのだから、さすがに脚本がしっちゃかめっちゃかになるのは自明の理。
もう突っ込みどころのオンパレードです。
主人公のカメラ付き義眼なんて凄くいいアイデアなのに、まったく活用されておりません。
そもそも冒頭から生き別れたお母さんのメモをあないに強調しておきながら、まさかのお母さん最後まで登場せず……(笑)。

とはいえ、存分にお金を掛けたであろう美術に関してはかなり頑張っており、細かか小道具やちょい役のモブの衣装に至るまで監督の拘りが感じられてそこは大変グッド。
やり過ぎグロ描写満載のアクション・シーンもけっこうスタイリッシュだったし、何も考えずにただボーっと観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
かたゆき

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